研究内容

RESEARCH

がんゲノム医療における臨床シークエンスの実装と人工知能の活用

IMSUTでは、 多くの専門家が研究の知識と経験を病院患者に戻すためにチームとして協力しており、患者のオミックスデータを基にしたプレシジョン・メディシンの実践を目指しています。 IMSUTはスーパーコンピュータと研究病院を併せて備えており、施設内で実用的な臨床シーケンスシステムを構築し実行することが可能な環境を有しています。加えて、機械学習を用いた推論による疾患原因遺伝子変異や薬剤の提案 (Watson for Genomics) に関する有効性・有用性を評価・検証しています。


腸内細菌叢・微生物叢の関連解析と粘膜ワクチン開発研究

腸内細菌は宿主である人を細胞数、遺伝子数において遥かに凌ぎます。また環境やストレスによっても変動し、我々の健康、疾病、精神に大きく影響することが報告されています。IMSUT・国際粘膜ワクチン開発研究センターでは、未だ研究報告の少ない腸内ウイルスと疾患の関わりに注目、糞便内に存在し細菌に感染するバクテリオファージの腸内細菌への感染関係を明らかにすると共に、新たなファージ療法への発展を目指しています。


弘前大学COI拠点 岩木健康増進プロジェクト東大医科研ビッグデータ解析

当プロジェクトは、青森県弘前市で十数年間実施してきた「岩木健康増進プロジェクト」の2,000項目に渡る超多項目健康ビッグデータを解析することで、認知症・生活習慣病などの早期発見を可能にし、予防方法を提唱してその検証を行い、さらにはその成果を社会実装までを目指すものです。当研究センターでは特に、これら時系列の検診データや同時に取得されているゲノムデータの数理的解析手法の開発・応用の役割を担っています。


国際連携でのがん全ゲノムプロジェクト (Pan-Cancer Analysis of Whole Genomes)

当プロジェクトでは、TCGA/ICGCで収集された2,834症例のがんの「全ゲノムデータ」の解析を、16個のWG (テーマ) から構成される国際連携グループで実施しています。我々のチームはがんと免疫の関係の解析を行っており、ベイズモデルを用いたHLA型推定法やネオ抗原の解析のための新たな情報解析技術を開発しており、これらを用いて免疫システムのがんにおける役割を解析しています。


腫瘍内不均一性を生み出すがんの進化原理を理解する数理研究

九州大学別府病院外科との共同研究により大腸がんのゲノム解析により一つの腫瘍内に多様なゲノムをもつ細胞集団が存在する、すなわち腫瘍内不均一性が存在することを見出しました。更に、スーパーコンピュータを用いたがんの進化シミュレーションによってこの腫瘍内不均一性は中立進化により生み出されている可能性を示しました。

腫瘍内不均一性は、がん治療の困難性の一因となっていると考えられますが、今後がんの進化シミュレーションを用いて、治療困難性を克服できる治療戦略の探索を行っていく予定です。(Uchi, R., Takahashi, Y., Niida, A. et al. PLoS Genet, 2016, 12:e1005778) また、この研究に関連して腫瘍内不均一性とがんの進化の総説も書きました。(領域融合レビュー, 5, e003 (2016)

がんゲノム解析により明らかになった大腸がんの腫瘍内不均一性

線形・非線形状態空間モデルのスパース推定法の開発

状態空間モデル(State Space Model,SSM)とはシステムモデルと観測モデルの2つの数式によって構築される時系列統計モデルです.システムモデル内の変数x_{t}は隠れ変数として扱われ,一般的に,ある与えられた時系列の観測Y_{T}={y_{1},..,y_{t},..,y_{T}}から隠れ変数の確率分布やパラメータ値の推定を行ったり,隠れ変数の将来値を予測する問題に用いられます.例えば,台風の進路や株価,電力の需給予測や,生体内のネットワーク推定に用いられています.
中でも最も簡単なモデルは線形ガウスモデルを用いたもので,Kalman filterというアルゴリズムを用いることで、最小分散推定の観点からみた隠れ変数の確率分布の推定値を高速に計算することが可能です.当研究室では,この問題をベイジアンスパース推定の問題に拡張することで構造推定の問題として扱ったり,非線形状態空間モデルにおける隠れ変数の確率分布に高次の近似を施すことで高い精度でパラメータの推定を行う手法を開発したり,最も汎用なモデルである,非線形非ガウスで尤度が計算できない場合に,隠れ変数とパラメータ値の推定問題を解くための統計的方法論の研究などを行っています.

状態空間モデル